死せる孔明生ける仲達を走らす

 つくづく三国志演義の歴史創造能力には脱帽する。
 三国志演義というのは羅貫中という人物の書いた小説なのだが、あまりにこれが面白く有名になりすぎたため、これにあることを”本当に起こったこと”として考える人を増殖させている。
 でだ、今回このことを実行してくれたのは我が校の先生なのだが、この人とは以前に面談をして正史と演技の違いを理解してくれていることを知っている。
 だがだ、この方の授業中にタイトルの故事の様なことを三国時代の出来事として教えてくれた。
 もちろん、これは三国志演義によって作られたことだ。実際にはただ諸葛亮の長史であった楊儀が引き返して反撃をした。 そしたら司馬懿が引き上げた。というだけのこと。
 決して『諸葛亮の木像を持ち出したら司馬懿君が驚いて逃げってったよ』ということはなかった。こんな起こりそうにもないことを信じさせるのが演技のすごさなんだが。
 (因みに諸葛亮は撤退戦が異常に強い。まあ子午谷の奇策を蹴ったように兵を大事に用いるというのがやつの思考の中心を占めているというのがその原因か?まあその撤退戦の強さが司馬懿を退かせたのか、とも考えることもできるのだが。)