ペンは剣よりも強し

 「ペンは剣よりも強しって、言葉があるよね。」
 「あるが、何かあるのか。」
 「剣の方がリーチの長さと切れ味でペンに勝ると思うんだけど。」
 「確かに間合いが中距離ならば、明らかに剣の方に分がある。だがよく考えてみるといい。もしその間合いが限りなくゼロに近かったらどうだろうか。剣を振り下ろす前にペンで急所を刺すことができる。それなりにとがっていることだしな。」
 「でも、間合いがなければ蹴るか殴るかに手を切り替えることで剣にも勝機は見えるんじゃないかな」
 「確かにその通りだ。ただはじめの『剣とペンで戦う』という定義からははずれているが。まあそれを結論にしておこう。では次に間合いが大きい場合はどうだろうか。この場合もペンが有利になる。遠距離戦では ・間合いを詰める ・遠距離攻撃 の二つの選択肢しか生まれない。まあ例外として逃亡という手が一つ。ではまず、剣側だが間合いを詰める以外にほぼ手は見いだせない。唯一の武器である剣は投げることができないからだ。もし外したり回避された場合には逃げるほかなくなるためだ。この選択肢は除外していいと思う。」
 「つまり剣側はペン側の攻撃を受け、中距離の間合いで切り込む、という作戦をとれ、ということだね。でも二刀流や懐刀という手もあると思うんだけど。」
 「その通りだ。しかしだ、対して、ペン側はペンを投げる手がある。ペンなんてものは幾つ持っても重さは余り大きくはならない。つまり剣側に対し、投げる物体の絶対量が多いと言うことだ。さらに剣などを持っていては、周囲にとがめられ最悪通報と言うこともあり得る。しかし、ペンを持っている側が通報されることは剣側に比べれば明らかに少ない値になるだろう。」
 「つまり結論は、短距離の間合いではペン有利。但し格闘の可能性をのぞく。格闘能力等は別に考慮する必要がある。中距離の間合いでは剣有利。遠距離の間合いではペン有利。ただし、剣側にも複数の剣を所持する場合に限り、反撃の芽はある。そして全てにおいて、人の多い地域ではペン側が周囲の理解を得やすく、その後の展開でも有利になりやすい。ということになるのかな。」